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 北総里山クラブは3回のタウンミーティングを開催しています。 北総地域の環境保護の要望と問題点などについて広く市民の声を集めるために、 また、県の(仮称)生物多様性ちば県戦略への提言を市民の声として届けるために、 根気強く続けられている集まりです。ここでは過去3回の記録をご紹介いたします。
第2回 北総里山タウンミーティングのレポートはこちらから
第3回 北総里山タウンミーティングのレポートはこちらから


第一回 北総里山タウンミーティング −生物多様性ちば県戦略にむけて−
『里山に囲まれたまちづくりをめざして、いま 私たちにできること』
2006年12月10日 13:30〜16:00 於:東京電機大学

■開催あいさつ  ■千葉県によるタウンミーティングの趣旨説明  ■スライド 北総の里山物語
■イギリスのニュータウン開発の顛末に学ぶ  ■スライド 生きものの声を聴こう
■意見交換

■開催あいさつ ケビンショート氏

僕は印西に20年間住んでいます。はじめは1,2年したらすぐ に引っ越すつもりだったけれど、この北総地域がとても気に入 り 2年前、残りの人生を此処で暮らそうと15年ローンを組ん で3,500万のマンションを買いました。
 僕はニューヨークで育ったので、里山が好きと同時に、文化 的刺激、多様な人の集まる大都会も好きです。日本の不動産は 高いけれど、家から北に向かうと5分で千葉ニュータウン中央 駅、3分でイオン、映画館、50分で東京にでられます。
反対にマンションから出て南に曲がると5分で里山に行ける……林があり、 谷間には田んぼがあり、田んぼの脇にはきれいな水が流れている。こういうところは、 日本にはなかなかない、すばらしい生活環境です。便利さと豊かな自然の名コンビがここの何 よりの魅力となっている。そう考えると3500万円は決して高くない、いい買い物をしたなぁ、 といつもそう思っています。
この北総台地の里山は今はまだよい状態で残っているけれど、 それは今までの開発が千葉ニュータウンの中に限られてきたから。 でもここ5〜6年で里山自然がどんどん失われてきました。 今日のタウンミーティングの1つの目的は、このすばらしい北総地域の里山自然を これからどういう形で、どういうシステムで、どういう叡智で守っていくか、 ということになると思います。


■千葉県によるタウンミーティングの趣旨説明

千葉県環境生活部環境政策課 斉藤博室長
・千葉県環境基本計画の10年ぶりの見直し ・「生物多様性ちば県戦略づくり」は新規事業 これら2つのことについて、県内20ヶ所でタウン ミーティングが開かれている。 環境基本計画は、1、循環型社会を作る、2、自然との共生、3、地球環境保全、 4、みんなが参加する の4本柱になっている。 今回のタウンミーティングは、生きものがどのように生きていくか、 自然との共生をどうするかといった、生物多様性の目的となるところである。 タウンミーティングの意見として取り入れていきたい。

千葉県環境生活部自然保護課  大木実主幹
1992年リオデジャネイロの生物多様性条約の時、堂本暁子が熱心に取り組んできた。 今までは、国レベルでの取り組みであった。 地域レベルでの取り組みが必要になってきた。生物多様性ちば戦略は、地域の特徴を出すために、 学識経験者と市民の意見を集めるタウンミーティングの2本柱になっており、 来年6月にむけて戦略を策定していく。12月23日には、千葉県中央博物館でタウンミーティングの 総括大会が行われる。ぜひ、お越しください。今日は、地域の意見をお聞かせください。


■スライドショー:北総の里山物語

長谷川雅美
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■講演:イギリスのニュータウン開発の顛末に学ぶ

池田志朗氏
イギリスはニュータウンの生まれ故郷といえる。第二次大戦後、ロンドン復興のため『大ロンドン計画』が作られた。ロンドンの周辺に16km程のグリーンベルトを造り、その周りに衛星状に独立型の都市を並べる計画で、それがNEW TOWN ACT=ニュータウン法として定められ、文字通りニュータウンとして開発された。(その原型は20世紀初頭に生まれた田園都市)  日本でも全国でニュータウンと呼ばれる街は数多くあるが、 法律で定められた用語ではない。しかし、千葉、多摩、港北 等のニュータウンは、計画人口が20万人級と大型で日本型 ニュータウンの代表例と位置づけることが可能だろう。
・・・略・・・
千葉ニュータウンは北総線を分水嶺として、北は手賀沼水系、南が印旛沼水系になる北総台地上に 広がっており、この両水系を巡っての様々な歴史が積層して来た。 印西牧の原地区は南北の谷津部分から駅前近くまで緑の軸が貫入しており、駅を降りると大規模な 商業施設群を脇に見て、すぐ前の牧の原公園から緑の軸が谷津につながっている。これは今後の 千葉ニュータウンの方向を示唆するものではないだろうか。
日本とイギリスの自然観の根底には、ストーンヘンジと三内丸山遺跡が太陽を意識していることに 象徴される共通点が見られる。
“集落”が自然との間で生活の糧を生み出すことができる一方で、“都市”はお金や暴力で他所から糧 を取り込む性格を持つ。地球環境が課題の今後の都市モデルは、“集落”的に周囲の自然を活かすもの とならざるを得ないだろう。



■スライドショー:生きものの声を聴こう

長谷川雅美
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■意見交換 司会:丹澤正直

丹澤   里山に囲まれた町に住んでいる私達が、里山保全に ついて考えていることや気付いていることを出してほしい。

参加者  里山は産廃物が多く埋められている。赤土を掘り出 して、産廃を埋めているのは30年位前からだ。 そこは畑になっている。里山は見た目にはきれいだが、 中からは汚染物質が浸出している。どうしたらよいか。

丹澤   これから皆さんと解決の方法を意見交換していきたい。

参加者 川べりを散歩していたら、銃を持ち犬を連れた人が現れた。民家から800m離れていれば良いと いうが、この時代に狩猟は禁止すべきではないか。バードウォッチングするにも怖くて歩けない。 市はどういう対応をしているのか。

丹澤   確かに怖いですね。ところで、タウンミーティグは、県や市に要望をするという場 ではなく、私達自身で問題をどう解決したらよいのかを話し合う場です。いまの問題も一緒に考えていき ましょう。

参加者  この地に23年住んで、地域の変遷を見てきた。新住民と在来住民との断絶がある。 臭い(養鶏とか養豚とか)、廃材処理等の燃焼行為、埋め立て等が問題になってきた。所有者がいる中で 他人の土地への要求は難しく、うまく在来の方たちと融合していかないと私達が目指しているものをどう 実行するか、なかなか見えてこないと思う。

長谷川  里山保全のまちづくりをしたいがそこに横たわる障害を具体的にどうして行くか、 今日の話ではなかなか見えてこないということですね。

参加者  白井に住んで有機農法をしている。3つ提案したい。
@団地の中に里山を作ろう。樹木には農薬を使用せず、落ち葉を土に返そう。
A森に囲まれた土地で農業をしている。しかし、印西の森は(雑木林でないので) 落ち葉が少ない。農家も土地をもてあましている。新住民と在来住民のコンタクトの場、接点がないから 土地を有効に使うことも出来ない。だが、もし家庭菜園、森などに興味をおもちならとにかく、 在来地区へ入ってみて欲しい。キーパーソンはきっと、いるから。
B企業庁や県が保有している土地がある。塩漬けになっている土地を年2回も税金を投じて草刈している。 企業庁等に交渉して、有効利用すべきだ。

参加者  谷津田は生き物の宝庫。その中を流れる水路のコンクリート護岸はやめてほしい。 農家は(崩れやすい)多自然型護岸を敬遠すると聞いた。コンクリート三面張りがよいか、 多自然型護岸がよいか。水路工事を企画する県には、生きものにとって良好な水路、 千葉県モデルを考えて欲しい。

参加者   大森に住んで、飲料水にもなる利根川の水質調査をしている。利根川の水道取 水口の直ぐ上流に、手賀沼流域下水道の排水口がある。友人に、農薬の有機リンが原因でハウスシック の人もいる。生き物が豊かな里山は大切だが、里山を考えるなら、農薬の問題を考えないといけない。

丹澤    里山保全に関連している15団体が実行委員会になって、今日の会を企画した。 今抱えている問題に日ごろ活動している人が、自分達はこんなことをしているという体験を語って欲しい。

参加者   白井に来て20年。PTAを通して新住民と在来住民との交流をしてきた。 里山づくりという格式ばった話しではなく、互いに親しくなることが大切。地域で取れる梨や米を、 顔見知りの新住民が積極的に購入すれば、自然に農薬使用も減っていく。荒廃する畑も新住民が耕せばよい。 いい悪いは別問題として、新住民と在来住民と、消費者と生産者と接点を持ち、つながりを実践して いくことが自然を守る原点であると思う。(拍手)

参加者   5ヘクタールの森を保全しようと運動している。他人の持ち物である土地をあれこ れいうから、在来地区の反感を買う。他人の土地には最大限の尊重をすべき。 新住民、在来住民という区別もいやだ。イギリスのハブリック フットパスという考えがナショナル  トラストにも繋がったとの話だが、新住民の身勝手な里山保全説は修正されるべき。

追記:(私には白井や印西に昔から住む親戚が多くいます。先だって母親と同い年の いとこが近所の森が伐採されて住宅地になったことを大変嘆いていました。そのうち、ナシ栽培もやれな くなってしまうのではないか、というのです。しかし、その土地を売った地主さんの事情も耳に入っており 、やはり面と向かっては何も言えないそうです。新住民であろうと、 旧住民であろうと、緑の森が少なくなり、コンクリートに変わることに異を唱えたい人はいるはずです。 新しく住み着いた人々だからこそ気付くこと、言える事があると信じます。 農業を続けるために、ニュータウン建設に対峙した方々がこの地域に健在なことも確かです。 狭くなってしまった農地では、生計がなりたたず、やむを得ず土地を手放なすしかない方々もいます。 そういう方々との対話がこれからもっと大切になっていくと思います。長谷川)。

池田講師 ハブリック フットパス とは、イギリス文化の特徴を表現している。 以前、イギリスの大学の敷地内に日系の大学を建造しようとして、公聴会を開いたら、犬の散歩道だから 困るという住民意見が出た。それで半年も話し合ったということだ。これは、所有権とは、別な問題です。

参加者   木下在住。森を整備している。ハブリックフットパスのようなものを 作りたいと思う。整備作業のため、竹や枝を燃したところ、野焼き禁止だと過剰な反応があり、 警察沙汰にもなった。竹を燃焼すれば竹酢液が取れ、森に竹炭効果も期待できると聞く。ごみの燃焼とは 区別して欲しい。また、草刈をしないでおくとすぐゴミを捨てられる。

丹澤  どういうまちにしていきたいのかをご意見を。

参加者   白井在住。先ほどのスライドはきれいだが、あれを撮影するのに車で排気ガスを 撒き散らして里山に行くのは、いかがなものか。白井、印西、印旛は広大な地域だが、自転車専用道路 はほんの少し。作らない行政側も怠慢だ。自然を残そうという人が自転車専用道路を求めないとは おかしい。自然保護団体はエコロジーを考えて、里山へは自転車で行こう。 篠竹から、ケーナという笛を作っている。県産の篠竹はケーナに最適。

追記: (写真撮影は、実行委員会のメンバーが日ごろ撮りためた写真を編集しました。 今回の集会にあわせて無理やり写真を撮ってきたという印象を与えてしまったのかもしれませんが、 ご指摘の点はまったく誤解です。生物の写真は、里山を静かに歩いていかないと撮れません。 どうかご理解を。車が入れず、歩行者や自転車が安心して通れる道が必要なことは同感です。長谷川)

丹沢    こういう貴重な意見が私たち自身が行動するきっかけになると思う。

ショート  この地域には、たとえば農道のように歩ける道は沢山ある。イギリスには、 カントリーウォークという文化があるので、ハブリック フットパスも生まれたが、 千葉ニュータウンにはパブリックフットパスを作らなくても多くの道がある。ここには20分歩けば、 素晴らしい里山がある。自分の足で歩き、里山の素晴らしさを知り、友人にも働きかけてほしい。 そこから、どうやって保全したらいいか。方法は、他人の言葉でなく、自分で歩き、見つけて欲しい。

*終わりの言葉  長谷川先生  12月23日には、県内タウンミーティングの総括があり、 各地からの報告がある。タウンミーティングの目的は付き合いの幅を広げることにあると考えていたが、 意見交換にもあったように、ここで終わらず、付き合いを広げていきたい。実行委員会の中のグループで 関心のあるものには、声をかけてください。今日の機会を与えてくれた、知事、県、実行委員会、参加者の皆さんに感謝する。

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